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元ソフトウェア営業の僕が、人材ビジネスを4年間やってたどり着いたスタンス

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INDEX

    全体公開

    エージェントの利潤は、チャレンジャーの成功の「おこぼれ」である


    本記事は、「学長トミオ」としてではなく、人材エージェントであるチャレンジャーベース株式会社代表・市川慶が、当事者として書いたものです。


    ① 書き手の立場 ── 評論家ではなく、本業として4年やってきた人間の視点

    2022年に人材エージェント業をスタートしたとき、最初に感じた違和感があった。

    「これ、僕が10年間やってきた営業とかなり違った構造の仕事のような…?」

    外資のソフトウェア営業として10年戦ってきた僕にとって、エージェント業は営業という言葉で括るには、どこか引っかかりがあった。顧客に価値を提案する感覚とも、自社プロダクトを売る構造とも、何かが根本的に違う。

    そして、もうひとつの問い。

    「僕らの売上は、いったいどこから生まれているのか?」

    この問いを4年間考え続けた結果、僕がたどり着いた答えが、冒頭に掲げた一文だ。

    少し長いが、端折らずに書いた。このテーマは、僕たちのスタンスそのものだから、省略せずに整理したい。


    ② ソフトウェア営業とエージェント業は、何が違うのか

    ソフトウェア営業は、顧客の課題に対して解決策を当てにいく、いわゆるソリューションセリングの構造だった。

    顧客に課題がある。その課題に対して、自社の製品やサービスが解決策になる。だから提案し、導入してもらい、売上が立つ。

    この構造では、売上の源泉は顧客の課題解決にある。課題が明確で、自社の製品がその解決策として機能するなら、提案には説得力がある。

    一方、エージェント業は構造が違う。

    僕たちには「自社プロダクト」がない。僕たちが提案するのは、クライアント企業の求人だ。そして、その求人が候補者にとって最適解かどうかは、候補者本人の納得感がすべてだ。

    ソフトウェア営業では、顧客が課題を認識し、ソリューションを導入することで、売上が立つ。でもエージェント業では、候補者が「この求人が自分にとって最適だ」と判断し、入社を決めることがキーとなる。。

    つまり、最終意思決定には我々が関与できる余地が小さい

    この構造の違いが、僕がずっと感じていた違和感の正体だった。


    ③ エージェント業の収益は、「おこぼれ」

    この違和感を突き詰めた結果、僕はこう整理するようになった。

    エージェント業の売上は、チャレンジャーの成功の「おこぼれ」である。

    「成功」を積み重ねた中からちょっとだけもらう

    弊社では転職活動の支援を行う際に、「チャレンジャーが自社クライアントに入社したかどうか」を一切気にしない。なぜなら、我々がコントロールできる要素ではないし、すべきでもないからだ。

    でも、チャレンジャーの転職活動をプロジェクトとしてお手伝いすると、10人が転職に成功した場合そのうち2−3人くらいが(結果として)弊社のクライアントに入社する。そこから売上が立ってくる。エージェントビジネスの単価は悪くないので、それで十分に事業が成立する。

    余談だが、弊社はLinkedInやビズリーチ等のスカウト媒体に依存しておらずほぼ100%が直接登録や紹介で相談に来てくれる。プラットフォームに支払う手数料がかからないので、利益率が高い。利益率が高いと、直接お金にならない活動をする余裕が生まれる。ありがたい。


    ④ 利益が一番に来た瞬間、おかしくなる

    エージェント業は、利益を優先した瞬間におかしくなる。

    なぜなら、転職プロジェクトにおいては候補者が最終意思決定すべきだからだ。

    候補者本人にとって最適ではない求人を、売上のために押し込もうとする。その瞬間、人は離れる。信頼を失い、次の転職相談は来なくなる。紹介なんて夢のまた夢だ。

    結果として、長期的な売上を失う。

    だから僕は、目先の売上を優先した瞬間に弊社のビジネスは壊れる、と考えている。


    ⑤ なぜ、エージェントモデルを選んだのか

    ここまで読んで、こう思う人もいるかもしれない。

    「それなら、なぜエージェント業をやるのか?」

    正直に言うと、僕はエージェント業をやりたくて始めたわけではない。

    僕がやりたかったのは、チャレンジャーの成長と挑戦を支援することだった。それを本業にしたかった。

    でも、それを本業にするには、収益モデルが必要だった。

    選択肢はいくつかあった。コーチング、コンサルティング、スクール事業。でも、どれもそれぞれ悩ましいポイントがあった。

    そして、たどり着いたのがエージェントモデルだった。会社を存続させていくための、現実解

    「エージェントモデルで事業をやる。でも、売上や利益を最優先にはしない」

    そんなことできるのか?と自分でも半信半疑で事業をスタートした。


    ⑥ いま、どういうスタンスで仕事をしているか

    では、実際にどうやって仕事をしているのか。

    エージェント業は、キャリアにおけるカスタマーサクセスに近い

    僕は、エージェント業を「単発のマッチング」ではなく、カスタマーサクセスに近い仕事として捉えるようになった。

    ソフトウェアの営業において、カスタマーサクセスは、「顧客を成功させることで、結果的に継続利用が生まれ、アップセルが生まれ、リファラルが生まれる。顧客の成功が先で、自社の売上はその結果としてついてくる」という発想がベースになっている。

    僕は、エージェント業も同じだと考える。

    僕らがご一緒する転職活動は1回でも、チャレンジャーのキャリアはそこでは終わらない。数年後には次の転職を考えるタイミングが来たりするだろう。そのとき、「またチャレンジャーベースに相談しよう」と思ってもらえる存在でいられるか。そこが鍵だ。

    目先の売上を優先して、無理な転職を勧めれば、2回目の相談には来てもらえないだろう。自分の友人や家族等、大切な人を紹介するなんてもってのほか。長期的には、会社として売上を失う。

    逆に、1回目の転職で「本人の転職活動そのものの成功や納得感」を大切にすれば、2回目の相談、知人を紹介などのその後のビジネスチャンスも生まれやすくなるはずだ。チャレンジャーベースベースでは、入社後もチャレンジャーたちと継続して仲良くさせてもらうし、転職に関係なくても相談はいつだってウェルカムだ。

    チャレンジャーたちには、サクセスしてもらわないと困るからね。

    僕たちの実装

    この思想を絵に描いた餅にしないために、実務としてはこうしている。

    • チャレンジャーの成功を最優先に支援する
    • 自社クライアント以外も含めて、候補となる企業をリストアップして転職活動のプロセス全体を支援する
    • 結果として、”たまたま”自社クライアントが最適解だった場合に、弊社に収益が入る

    この順番を守ることが、弊社チャレンジャーベースの仕事の前提だ。


    ⑦ おわりに

    主役は、チャレンジャー。僕たちチャレンジャーベースは、脇役。

    エージェントの利潤は、チャレンジャーの成功の「おこぼれ」である。順番を間違えた瞬間に、チャレンジャーベースは信頼を失う。

    この戒めを守りながら、これからも「挑戦し続ける人たち」を応援していきたい。

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