SalesforceのEBU(エンタープライズ営業)を徹底解説 ── CBUの「上」やない。別の競技や
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まいど!学長トミオや。
Salesforceの営業組織シリーズ、3本目や。1本目で全体マップを描いて、2本目でCBU(コマーシャル営業)を掘った。今日はいよいよEBU(Enterprise Business Unit)の話をする。
20代で「エンタープライズ営業」という言葉の響きに惹かれてここに来たキミ。気持ちは分かる。けど、まずCBUの記事を読んでほしい。あっちに書いたとおり、日系ITに在籍している20代〜30代前半にとって、Salesforceへの最も現実的な入口はCBUや。
この記事が向いているのは、企業相手にソリューションを提案し、自分で案件を推進してきた経験がある人や。CBUや他の外資で実績を出して、次を考えている人もそうや。ECSという枠だけは少し事情が違うので、それも後で書く。
もう一つ、範囲を先に言っておく。ここで扱うのはCore営業側のEBU、つまりSalesforceの製品群を横断して担当するAEの話や。Tableau や MuleSoft のような製品特化のSolution営業もEBUの顧客を担当するけど、動き方が別物なので、そこは【企業研究】Tableau部門の営業はなぜ面白いのかに回す。
このAcademyの運営元は、外資IT特化の人材エージェント・チャレンジャーベースや。ワイはその学長として書いとる。Salesforceにはうちの運営元からチャレンジャーたちを送り出してきたし、EBU側の選考に進んだ人の相談にも乗ってきた。その現場の手触りを、公開できる範囲で書く。
本記事で扱う企業は、Academy運営元のチャレンジャーベース株式会社が採用支援を行っています。
EBUはCBUの延長やない
社内のキャリアパスの図を見ると、EBUはCBUの「上」に描かれている。SB → GRB → Mid-Market → GB → Enterprise AE。この階段は実在する。CBUの記事で紹介した、うちの運営元を担当してくれた営業も、SBの担当AEからGRBを経て、今はEBUのMid-Market AEに昇進している。
けど、営業という競技として見たとき、EBUとCBUは同じゲームの上級ステージやない。ルールが違う別の競技や。
何が違うか。ワイの所感で、3つに絞る。
- 一打席の重さ:CBUは打席数で勝負する。決裁者に直接当たって、短いサイクルで次々とクロージングする。EBUは逆で、1つの商談に半年から1年以上かける。年に数件の大型案件で数字が決まる。打席が少ない分、1打席の失敗が重い
- 相手の数:CBUの相手はCEOや役員、つまり決裁者本人。EBUの相手は現場、情報システム部門、事業部長、購買、法務、そして役員。意思決定者が1人やなく、何層にもいる
- 英語:CBUの記事では「英語面接はない。英語のスキルも必要ない。」と書いた。EBUではこの結論をそのまま書けない。理由は後で説明する
この3つを頭に置いて、EBUの中身を見ていこう。

EBUの3つの部屋
全体マップの記事で書いたとおり、EBUは顧客規模でさらに3つに分かれている。おさらいも兼ねて、それぞれの「営業の形」を書く。
| セグメント | 担当する企業 | 担当アカウント数 | 案件の形 | 入ってくる人 |
|---|---|---|---|---|
| Enterprise AE | 従業員数が数千人を超える大手。日本を代表するような企業 | 少数・専任に近い | 年単位。経営層に対して全部門へ横断提案 | 大型案件の受注実績を持つ経験者、または社内昇進 |
| GB / MM (General Business / Mid-Market) |
従業員数が数百人〜数千人規模の中堅 | Enterprise AEより多い | 半年〜1年。関係者が多層になる | CBUから上がってくる人、エンプラ向けSaaS・SIer経験者 |
| ECS (Enterprise Corporate Sales) |
大企業の子会社・グループ企業、本体でも比較的小さい案件 | 複数を担当 | 規模は小さいが、構造はEBU仕様 | 20代が中心(後述) |
※上記は Core 営業側の3セグメントや。Solution営業(Tableau・MuleSoft・Slack 等)のAEはEBUの顧客を担当してもこの区分には入らない。
※重要な注記:上記のセグメント名称と顧客規模の目安は、うちの運営元がエージェントとして人材紹介を行う中で得た情報に基づくものや。Salesforceは公式にはこれらの詳細な区分を外部に公開していない。組織変更で毎年のように更新される可能性があるので、あくまで「おおよその地図」として読んでほしい。
EBU AEの仕事の中身 ── 束ねる規模と時間軸が変わる
CBUの記事では「CEOクラスが相手」「数をこなせる」「全製品を扱う」の3つを特徴として挙げた。全製品を扱うアカウントオーナーであることはEBUでも変わらん。Sales Cloud、Service Cloud、Slack、Tableau、Data Cloud、Agentforceといった製品群を横断的に提案し、Solution営業(製品特化のAE)と連携しながら、自分のアカウントの全体を見る。
変わるのは、束ねる人の数と、関わる時間の長さや。
CBUでもSEやパートナーとは組む。Salesforceの営業は、どのセグメントでもチームで動くのが基本や。ただEBUでは、その人数と期間が桁で変わる。技術検証にはSE(Solutions Engineer)、導入設計にはプロフェッショナルサービス、既存システムとの接続にはパートナー企業、特定製品の深い提案にはSolution AE。この人たちを、半年から1年の商談の中で、誰をいつ入れるかを設計しながら一つの提案として束ねる。それがEBUのAEの仕事や。だから評価されるのは「話がうまい」「クロージングが強い」だけやない。自分のアカウントに対して、誰をいつ巻き込めば案件が前に進むかを設計できるか。ECSの求人記事で触れた「テリトリー戦略策定、チームセリング、中長期的なパイプライン創出」という言葉は、EBU全体の仕事を言い表している。
その設計を計画に落としたものがアカウントプランや。担当企業の事業課題、組織構造、既存システム、キーパーソン、取引履歴を整理して、「この会社に今期と来期で何をどう提案するか」を決める。CBUのように今週の商談を回す感覚ではなく、年単位の攻略計画を持って動く。
そして、今期の数字だけでは評価されない。大企業の案件は仕込みから受注まで1年以上かかることがザラやから、今期のクロージングと同時に来期・再来期のパイプラインを作っているかが見られる。EBUのAEは2〜3期先を見て動くことになる。
ここまで読んで「自分の経験はEBUでどう見えるんやろ」と思ったら、その時点でワイに相談してくれてええ。うちの運営元のエージェント面談に繋ぐで。
英語の話
CBUの記事の会員限定パートで、ワイはこう書いた。「英語面接はない。英語のスキルも必要ない。」CBUの顧客は日本の中小〜中堅企業やから、日常業務で英語を使う場面もほぼない、と。
EBUで同じことを言い切れるかというと、言い切れない。
商談そのものは日本語や。相手は日本の大企業やから、提案も交渉も日本語で進む。ここはCBUと変わらん。
変わるのはその周辺や。大企業向けの提案では、本社側の製品スペシャリストや海外拠点のSEと連携する場面が出てくる。担当企業が海外展開している場合、海外拠点への導入がグローバル案件として動くこともある。担当する大企業のお客さんを、役員から現場の社員まで、Dreamforce(本社の年次イベント)にアテンドする、という仕事もある。社内の製品情報・トレーニング・提案テンプレートは英語のものが多い。つまり、商談は日本語、商談を支える裏側に英語が混ざってくる、というのがEBUの実態に近い。
「英語ができないとEBUに入れない」とは書かない。実際、英語に自信がない人がEBUで活躍している例をワイは知っている。ただ、英語が使えると巻き込める人と情報の範囲が広がるのは事実で、EBUではその差が案件の質に出やすい。CBUでは武器にならなかった英語が、EBUでは武器になる。そういう順番や。

選考で英語がどう見られるかは、会員限定パートで書く。
ECSという特殊競技
さて、ここまで読んで「自分はEBUに直接行けるんか?」と思っている人がいるはずや。CBUの記事に書いたとおり、EBUへの直接転職は不可能ではない。大手法人向けの複雑なソリューション営業を5年以上やってきて、大型案件のクロージング実績がある人なら、Enterprise AEやGB/MMの門を直接叩くことはあり得る。
けど、その条件を満たしている人は多くない。法人営業の基礎はできていて、大企業相手の経験もある。ただし「大型案件を自分で勝ち切った」と言える実績はまだない。 ワイが相談を受ける中では、この層が一番多い。ここで「じゃあECSから入ればええんやろ」と思った人。ちょっと待ってほしい。ECSは、この層のための入口ではない。
うちの運営元がエージェントとして選考の通り方を見てきた限り、ECSに入っていっているのは20代が中心で、新卒で入った大手ITベンダーやSIerで腰を据えて経験を積み、転職歴が少ない人が多い。育成組織という性格を考えれば、そうなるのは自然や。これはSalesforceが公式に条件として掲げているものやなく、ワイが外から見てきた結果の話や。そこは区別して読んでほしい。そして、GRBのような大きなセグメントと比べれば、ECSの席数はそもそも多くない。
だから30代で、大企業相手の経験はあるが大型案件の実績がまだない、という人の現実的な道はECSではない。CBUのGRB(経験値の高い人が配属される傾向がある側)で場数を踏んでEBUに上がるか、今の会社で大型案件を勝ち切ってGB/MMを直接狙うか、このどちらかや。逆に、この顔ぶれに当てはまる人にとっては、かなり恵まれた入口になる。募集は時期で変動するので、条件に合うと思うなら、募集が出たときにすぐ動ける状態を作っておいてほしい。
求められる経験 ── キミはEBUで通用するか
この節は、法人営業、それも企業相手にソリューションを提案し、案件を自分で動かしてきた経験がある人向けの問いや。営業経験そのものがまだ浅い人は、ここは読み飛ばしてCBUの記事に戻ってええ。今のキミに必要なのは、まず打席数や。
CBUの記事で、EBUに直接行けるかどうかは経験年数や「何を・誰に・どのように売ってきたか」に強く依存する、と書いた。EBUではこの3つの問いが、そのまま重くなる。ワイがEBUの選考に進むチャレンジャーと話すとき、確認しているのは次の5つや。自己診断として使ってほしい。
① 決裁者が複数いる商談を、自分で回した経験があるか
現場の担当者、部長、情シス、購買、役員。相手が一人やない商談で、誰に何を話して合意を作っていったかを、自分の言葉で説明できるか。
② 半年以上かかった商談を、失注せずに勝ち切った経験があるか
長い商談は途中で止まる。競合が入る。予算が消える。担当者が異動する。そういう局面を乗り越えて受注した経験があるか。「長い商談に関わった」ではなく「自分が動かして勝った」と言えるか。
③ 自分以外の人を巻き込んで提案を作った経験があるか
SE、コンサル、パートナー、社内の他部門。自分一人では作れない提案を、人を集めて作った経験があるか。EBUの仕事はこれの連続や。
④ 既存顧客の中で「次の案件」を自分で作った経験があるか
新規開拓だけやなく、担当している顧客の中で課題を見つけて、次の提案を自分で立ち上げた経験。アカウントプランの仕事はここから始まる。
⑤ 役員に対して、製品ではなく事業の言葉で話せるか
機能の説明ではなく、その会社の事業がどう変わるかを話せるか。Enterprise AEの商談相手は、製品の話を聞きたいわけやない。
5つ全部に「ある」と言えるなら、EBUの門を直接叩く資格がある。3つか4つなら、ECSの条件に合う人はECS、合わない人はGRBか今の会社で残りを埋めるのが現実的や。1つか2つなら、まだCBUか、今の会社で大企業相手の経験を積む段階や。
自己診断が微妙なところで止まったら、ワイに相談してくれ。うちの運営元のエージェント面談に繋ぐで。「この経験はEBUの選考でどう見えるか」は、送り出してきた側やから分かることがある。

どんな人がはまるのか ── 前職パターン別
CBUの記事と同じ切り口で、EBUに入る人の前職パターンを整理する。エージェントとしてのワイの所感や。
| 前職 | 持っているもの | 足りないもの | 現実的な入口 |
|---|---|---|---|
| エンタープライズ向けSaaS(外資・日系)で大企業担当 | 製品を売る感覚。競技ルールも近い | Salesforceの製品幅への慣れ | GB / MM、Enterprise AE |
| 特定業界に深く入ったコンサル(通信・製造・金融など) | 大企業の意思決定構造。事業の言葉で役員と話せる(⑤に強い) | 自分の数字を背負ってクロージングした経験(①②) | GB / MM、ECS |
| 日系大手SIer・ITベンダーで大企業担当 | 多層の意思決定、長い商談、人を巻き込む提案 | 売り物の転換と、案件を自分で推進した実績(下記) | 20代はECS、30代以降はGRB・GB / MM |
| CBUで実績を出した人 | Salesforceの製品と社内の動き方 | 「一打席の重さ」への適応 | Mid-Market(社内異動の王道) |
| 日系大手メーカーの法人営業 | 大企業相手の経験 | ソフトウェアを売った経験 | まずCBU、または他の外資ITでソフトウェア営業を経験 |
SIer・ITベンダー出身の人には、二つ気をつけてほしいことがある。
一つは、売り物が変わるということ。SIerの営業は、人月で稼いできた。案件が大きいほど人が動き、売上は工数で立つ。Salesforceで売るのはライセンス、つまり「製品を使って、この会社の業務がどう変わるか」という価値や。案件の大きさは工数やなく、導入の範囲と価値で決まる。この頭の切り替えができるかは、選考でも入社後でも見られる。
もう一つは、SIerの営業といっても中身が二種類あるということ。社内で見積もりと契約を回してきた人と、顧客の中に入って案件を自分で立ち上げ、推進してきた人や。EBUで評価されるのは後者で、前者はSIer歴が長くても、上の5つの問いに「ある」と言えるものが少ない。自分がどっちやったかは、選考の前に自分で見極めておいてほしい。
そして、CBUの記事にも書いたが、インサイドセールスからEBUのAEへ直接、というルートは無い。まずどこかでフィールドセールスとして自分でクロージングした実績を作ってからや。
EBUの先にあるもの
EBUで結果を出した人が、その先どこへ行くかも書いておく。
| 行き先 | どんな席か | 何が効くか |
|---|---|---|
| 社内でさらに上へ | 特定の超大手アカウントを専任で担当。または営業マネジメント | Enterprise AEでの実績。Salesforceは半年ごとに異動の機会があるので、次の選択肢は早く開く |
| 同規模の外資ITへ | エンタープライズ営業としての中途採用 | 大企業の意思決定構造を分かっていて、複数の関係者を束ねて大型案件を勝ち切れること |
| 立ち上げ期の外資へ (規模を下げて役割を上げる) |
日本に営業が数人。マーケもSEもパートナーも揃っていない中で、自分で案件を作って、自分で閉じる | 関係者を束ねて長い商談を勝ち切る力。報酬の設計も大手とは変わってくる |
つまりEBUは、Salesforceの中でのゴールというより、外資ITのエンタープライズ営業というキャリアの本流に乗る場所や。CBUが外資IT営業への「最初の扉」なら、EBUはその本流への合流地点やと思ってもらえればええ。結果を出せば、上に書いた選択肢が全部開く。
ただし、これも繰り返しになるが、楽な場所ではない。大型案件は年に数件しかなく、そのどれかを落とせば数字が大きく崩れる。関係者が多い分、自分の力だけでは動かせない局面も多い。「凄い場所で、凄いやつらと、お客さんの成功のために本気で頑張りたい」という気持ちは、CBUと同じかそれ以上に必要や。
ここから先は会員限定や
ここまでで、EBUという組織の中身と、そこで何が求められるかは掴めたと思う。
ここから先では、実際にEBUの選考に向けて動く人のために、もう一歩踏み込んだ情報を書く。
- 年収・OTE:Enterprise AE/GB・MM/ECSで、それぞれどのくらいの水準なのか。入社時にどのレンジで提示されるのか
- 面接・採用プロセス:EBUの選考はCBUと何が違うのか。英語はどこまで見られるのか。書類で見られていること
いずれもエージェントとして現場で得ている情報をベースに書いているので、ぜひ会員登録して読んでほしい。まだ会員でない方は、入学申請(無料)からどうぞ。