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フィールドセールスという言葉が嫌いだ。——プロの営業が持つべき、アカウントオーナーシップという覚悟

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    まいど!学長トミオや。

    「フィールドセールスという言葉が嫌いだ。」

    いきなり物騒なこと言うてすまんな。でもこれは本音や。

    ただ、誤解せんといてほしい。ワイは日系SaaSを批判したいわけやない。フィールドセールスという職種の人間を見下したいわけでもない。いい会社も複数あるし、日系で修行を積んでから外資に来るルートは全然アリや。

    ワイが嫌いなのは、「フィールドセールス」という言葉の裏にあるある種の発想の構造や。

    ここでひとつ、補足しておく。「フィールドセールス」という呼び方は、主に日本のSaaS業界で使われている言葉や。海外、特に外資ITの世界では、同じようなポジションはほぼ例外なく「Account Executive(AE)」と呼ばれる。「フィールドセールス」という分業の一担当者という概念は、日本独自のものといっていい。

    なぜこの「言葉の違い」がワイの気になるポイントなのか。それは名前の問題やなくて、その言葉の裏にある発想の構造が、根本的に違うからや。

    今日はその話をする。

    これを読んでいるチャレンジャーたちの中には、いつか外資ITに挑戦したいと思っている人間がいると思う。そういう人間に、今日はこれだけ伝えたい。

    肩書きがなんであれ、今日からアカウントオーナーとして働け。

    その覚悟を持った人間が、外資AEとして本当に輝ける。


    「フィールドセールス」という言葉に潜む構造

    日系SaaS業界でよく見る営業組織の設計がある。

    • インサイドセールス(IS):リードを育成してアポを取る
    • フィールドセールス(FS):アポに対して提案・クロージングをする
    • カスタマーサクセス(CS):受注後の顧客定着・拡張を担う

    これがいわゆる「ザ・モデル」型の分業体制や。もともとSalesforceのAaron Rossが提唱した営業の効率化モデルで、日本では福田康隆さんの著書『THE MODEL』を通じて広まった。

    この設計が「完全分業」として実装されたとき、ある問題が起きる。

    それぞれの担当者が、自分の担当範囲だけを自分の仕事だと思い始める。

    ISは「アポを取ることが仕事」。FSは「クロージングすることが仕事」。CSは「定着させることが仕事」。誰もアカウント全体を見ていない。誰も全体の結果に責任を持っていない。

    これがワイの言う「構造上の甘え」や。


    実は『Predictable Revenue』の著者本人も警告していた

    ここで面白い事実を紹介したい。

    「ザ・モデル」の源流となった書籍が、Salesforceの元セールスディレクターAaron Rossが2011年に著した『Predictable Revenue』や。SDRとAEを分業させることで「予測可能な収益」を作るという考え方を提唱し、世界中のSaaS企業の営業設計に影響を与えた本や。

    ところが、そのAaron Ross本人が、こんな警告をしている。

    “One of the dangers is when AEs think they don’t need to prospect anymore.” (このモデルの危険性の一つは、AEが『自分はもうプロスペクトしなくていい』と思い始めることだ)

    出典:Predictable Revenue Podcast / Aaron Ross & Drift’s David Cancel on The Future of Sales

    分業モデルを作った本人が、AEのオーナーシップ喪失リスクを明確に警告していたんや。

    さらに近年、欧米では「SDR/AE分業モデルはもう機能しなくなってきている」という批判が出始めている。Built Inというメディアでは、MEDDICアカデミー創設者のDarius Lahoutifardがこう語っている。

    “That taste of human connection that existed between the two people — that is not describable in the transfer of information between the SDR and the AE.” (SDRからAEへの引き継ぎで失われるのは、初期の接触で生まれた人間的なつながりだ。それは情報の受け渡しでは伝えられない)

    出典:Built In「Is It Time to Bring Back Full-Cycle Sales Teams?」(2022年)

    つまり、分業設計によってAEが「クロージングだけをやる人」になったとき、顧客との関係の連続性が失われるという問題も起きている。これは「効率化」の裏にある、見えにくいコストや。


    【図解①】「ぶつ切り型」vs「AE中心型」——2つの営業組織構造

    左は「自分の担当範囲をこなす」設計。右は「アカウント全体を司る」設計や。

    AEが中心にいて、SDRにもCSにも双方向で指示を出す。SDRはAEが動かす手足。CSはAEが連携するパートナー。顧客アカウントから生まれるすべての動きの起点が、AEや。


    外資AEとは「担当アカウントの経営者」や

    外資ITの「Account Executive(AE)」を日本語に訳すなら、「担当アカウントの責任者」や。でも「責任者」という言葉だけでは伝わらへん。実態はもっとシリアスや。

    外資AEというのは、自分のテリトリー(担当顧客群)における売上目標の達成に対して、全権を持ち、全責任を負う人間や。

    アプローチ先を決めるのもAE。提案内容を設計するのもAE。SDRへの指示もAE。クロージングはもちろんAE。受注後のカスタマーサクセス活動の方向性を見るのもAE。

    仮にSDRがチームにいたとしても、「SDRがアポを取ってこないから目標を達成できない」という言い訳は通用せん。SDRの動きが悪ければ、AEがSDRをマネジメントする。それでも足りなければ、自分でコールドコールもメールもやる。

    ちょっと怖く聞こえるかもしれへんけど、これは「担当アカウントの経営者」という感覚に近い。経営者が「営業部が売ってこないから売上が立たない」とは言えへんやろ。それと同じや。


    外資では責任と報酬が連動している——それがオーナーシップを育てる

    外資AEがなぜオーナーシップのマインドを持てるのか。精神論だけやない。構造として、責任と報酬が連動しているからや。


    【図解②】責任範囲と報酬の連動

    外資AEは、担当アカウントから上がった売上に対して、相応のコミッションをもらう。売れれば売れるほど、自分の収入が上がる。アカウントを育てれば育てるほど、自分に返ってくる。

    RepVueのデータによると、エンタープライズAEの中央値は年収ベースで25万ドル(OTE)。トップ層は年収100万ドルを超えることもある。これだけの報酬が「アカウントへの全責任」とセットになっているんや。

    出典:RepVue「Account Executive Career Guide」(2024年)

    一方で、完全分業型の設計では、各担当者のKPIは自分の担当範囲に閉じている。FSであれば「クロージング件数」や「受注率」が評価軸になる。アカウント全体の成長は、自分のコミッションに直結しない。

    これは個人の意識の問題やなく、設計の問題や。報酬と責任が連動していない環境では、オーナーシップのマインドが育ちにくいのは当然や。


    外資は「結果で自分を証明する場所」や

    外資AEの世界は、仕組みに守られる場所やない。結果で自分を証明する場所や。

    「整った環境があるから頑張れる」という発想で来た人間は、ほぼ例外なく苦しむ。外資は言い訳を受け取らへん。アポが少なくても、景気が悪くても、プロダクトに不満があっても、担当アカウントの数字はAEの名前と一緒に残る。

    それが怖いか。ワイは怖くなかった、とは言わへん。でもその怖さの中に、営業としての本当のやりがいがある。

    日系SaaSで修行を積んでから外資に来るルートは全然アリや。いい会社も複数ある。そこで基礎を磨くことには大きな価値がある。ただ、どんな環境にいても「自分がこのアカウントの責任者だ」という意識を持てているかどうかは、別の話や。

    日系SaaSのフィールドセールスとして働きながら、オーナーシップを持って動いている人間もいる。外資AEという肩書きを持ちながら、アポ待ちをしているだけの人間もいる。

    肩書きと、マインドは別物や。


    【図解③】マインドセットのスペクトラム

    タスクワーカー側の特徴:

    • 「自分の担当はここまで」という意識がある
    • ISがアポを取ってくることを前提にしている
    • 結果が出なかったとき、他の役割のせいにできる
    • 担当アカウントの全体像を把握していない

    アカウントオーナー側の特徴:

    • 担当アカウントの売上目標を「自分ごと」として持っている
    • パイプライン創出から受注後まで、全体を見ている
    • SDRやCSを「チームとして動かす」感覚がある
    • 結果に対して言い訳をしない

    どちらの意識で働くかは、今日から選べる。


    チャレンジャーたちへ——今日からオーナーとして働け

    外資ITに挑戦したいと思っているチャレンジャーたちに、最後にこれだけ伝えたい。

    外資AEの世界は、プロの営業が結果に責任を負う世界や。甘えのない世界や。それが怖くもあり、やりがいでもある。

    でも、その世界に飛び込む前にできることがある。

    今の環境で、すでにアカウントオーナーとして働くことや。

    日系SaaSのフィールドセールスとして働いているなら、「自分がこのアカウント全体を担当しているとしたら、どう動くか?」と問いを立ててみてくれ。ISからアポが来るのを待つだけやなく、「このアカウントにアプローチするためにISに何を依頼すべきか」を考えてみてくれ。CSとの連携を「バトンを渡す」ではなく「チームとして動く」に変えてみてくれ。

    その意識の変化が、外資AEになったときに本物の力として出てくる。

    外資は覚悟なしで来る場所やない。でも、オーナーシップという覚悟を持ったチャレンジャーが、外資AEとして輝く瞬間を、ワイは何度も見てきた。


    まとめ:アカウントオーナーシップとは何か

    ワイなりに、一言で定義する。

    アカウントオーナーシップとは、担当アカウントから生まれるすべての成果に責任を持つことや。

    ワイが共同でセールススクールを開催している、外資IT営業歴15年のトップセールス・みる太さんはこう表現する。

    売ることを通じたカスタマーサクセスの実現。

    これがアカウントオーナーシップの本質や。売って終わりではなく、売ることで顧客を成功させ、その成功がまた次の売上を生む。このサイクル全体のオーナーであることが、AEとしての覚悟や。

    誰かがやってくれるのを待つのではなく、このサイクルのどこかが滞ったとき、自分が動く。ISがアポを取ってこなければ自分で動く。CSの活動が手薄なら自分でテコ入れする。プランニングから実行まで、すべてを自分ごととして指揮していく。

    それだけの話や。

    SalesHiveのB2Bセールスグロッサリーでは、現代のAEをこう定義している。

    “the core revenue owner who manages the full sales cycle” (収益のコアオーナーとして、セールスサイクル全体を管理する人間)

    出典:SalesHive「Account Executive (AE) Glossary」

    「revenue owner(収益のオーナー)」という言葉が使われていることは、偶然やない。AEとはそういう役割なんや。

    肩書きがなんであれ、今日からオーナーとして働け。

    その覚悟こそが、プロの営業の出発点や。


    まいど、最後まで読んでくれてありがとうや。 外資IT転職の個別相談・壁打ちは、ワイとの面談でいつでも受け付けとるで。覚悟を持ったチャレンジャーたちと話すのを楽しみにしてるでー!


    参考・出典

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