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【企業研究】WEKAとは何者か ── 買ってしもたGPUを「遊ばせない」会社が、日本の1人目の営業を探しとる

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    Department:

    学長トミオ

    まいど!学長トミオや。

    「AI の会社」て聞いて、キミが思い浮かべるのはどこや。ChatGPT の OpenAI、Claude の Anthropic。IT に詳しい人なら、Databricks あたりまで出てくるかもしれん。今日取り上げる WEKA(ウェカ) は、そのどれとも違う。AI を作る会社でも、使わせる会社でもなく、AI が動くための土台を売っとる会社や。日本では、名前を聞いたことがある人のほうが少ないやろ。

    この会社の日本を見とるのが、Datadog の日本法人を率いとった国本さんや。その国本さんが、日本の1人目の営業として「新しい分野に挑んでみたい人」を探しとる。

    このAcademyの運営元は、外資IT特化の人材エージェント・チャレンジャーベースや。ワイはその学長として書いとる。今回、うちの運営元は、この採用を手伝う側におる。やから、この記事は「ええ会社やで」と並べるだけの記事にはせん。何を売っとる会社で、どう売っとって、日本はいまどの段か。公開されとる情報を黒田さんに検証してもろて書く。読んでから決めてくれ。

    黒田さん、頼みます。

    黒

    \ この記事の検証担当 /

    黒田 Challengers Academy 企業研究担当

    外資ITの現場から経営の近くまでをひと通り経験し、いまは一歩引いて業界全体を見ています。会社を宣伝文句ではなく、構造で読み解くのが役回りです。本シリーズでは、学長トミオの見立てを、事実に照らして確かめていきます。

    何を売っている会社か ── GPU を遊ばせないための土台

    買った GPU の時間のうち、計算以外の2種類の時間を WEKA が減らすことを示した図
    GPU を速くするのではなく、GPU を遊ばせない(図=Challengers Academy・帯の割合はイメージ)

    WEKA の顧客は、AI を動かすために GPU を買った会社です。その会社の困りごとから見ていくと、WEKA が何を売っているかが分かりやすくなります。

    AI は、GPU という計算機の上で動きます。GPU は高価で、供給が追いつかず、手に入れても電力と設置場所の制約がつきます。ところが、そこまでして手に入れた GPU も、すべての時間を計算に使えているとは限りません。学習ではデータが届くのを待ち、推論では過去のやり取りの計算結果(KV キャッシュと呼ばれます)を置くメモリが足りず、捨てて計算し直す。どちらも、GPU が本来の計算をしていない時間です。GPU を買った会社からすれば、投資した機械が働いていない時間、と言い換えられます。

    WEKA の商売は、この「GPU が遊ぶ時間」を減らすことにあります。同社は求人票の会社紹介でも、自社の製品を「GPU の稼働率を最大化する(maximizes GPU utilization)」ものと説明しています。中心製品の NeuralMesh(ニューラルメッシュ) は、汎用のサーバーやパブリッククラウドの上で動く、ソフトウェアで定義された分散ストレージで、GPU サーバーにいかに速くデータを供給し続けるかに特化しています。2025年3月に発表した Augmented Memory Grid(拡張メモリグリッド) は、推論で足りなくなる KV キャッシュを GPU のメモリから高速ストレージへ逃がし、GPU のメモリを実質的に広げる機能で、2025年11月から商用提供されています。AI の重心が「学習」から「推論」へ移るにつれ、会社の軸足もこちらへ寄っています。

    「ストレージ会社」と呼ぶのは、間違いではないが足りない

    読者がいちばん誤解しやすい点を片づけておきます。会社自身も NeuralMesh を「ストレージシステム」と呼んでいますから、「ストレージの会社」という説明は間違いではありません。ただし、ふたつの意味で足りません。

    ひとつは、NAS や SAN といった従来型のストレージ装置を売る会社ではないこと。2026年に入って、会社は自らを「AI のデータとメモリの基盤(AI data and memory infrastructure)」と名乗るようになりました(2025年までは「AI ネイティブのデータプラットフォーム」)。

    もうひとつは、ソフトウェアだけの会社でもないこと。自社で設計した機器 WEKApod も販売しており、2026年7月には第3世代を発表しています。さらに後述するように、他社の製品に自社ソフトを組み込んで供給する OEM 事業もあります。「ソフトが中核で、売り方は機器も組み込みもある会社」というのが、営業として説明するときの正確な像です。

    どんな規模の会社か

    WEKA は2013年に創業したイスラエル発の企業です。共同創業者の3人は、2008年に IBM に買収されたストレージ企業 XIV の出身で、CEO の Liran Zvibel 氏もその一人です。本社は米国カリフォルニア州キャンベル(シリコンバレーの南端、サンノゼの隣)にあり、開発拠点はテルアビブとインドのベンガルールにあります。2026年10月時点の自社サイトによれば、従業員は500人超、取得した特許は170件超です。

    資金面では、2024年5月の Series E で1億4,000万ドルを調達し、企業価値は16億ドルと発表されています。投資家には Valor Equity Partners、Generation Investment Management、Norwest Venture Partners に加えて NVIDIA が名を連ねます。売上の規模について会社は、年間経常収益(ARR)が2024年に1億ドルを超えたと述べています(同社の広報による数字で、第三者の確認はありません)。会社は求人票で自らを「上場準備段階(pre-IPO)」と紹介しています。

    業界内の位置づけを整理すると、WEKA は AI 向け高性能ストレージの新興勢です。調査会社 Gartner のマジック・クアドラント(ファイル・オブジェクトストレージ部門・2024年版)では「Visionary(ビジョナリー)」に置かれました。報道で競合として並べられるのは VAST Data、DDN、Pure Storage、NetApp、Hammerspace といった企業です。

    NVIDIA との距離と、性能の数字の読み方

    NVIDIA は WEKA の出資者であり、2024年9月には NVIDIA Cloud Partner 向けの高性能データストアとして WEKA を認定、2026年3月には NVIDIA の新しいストレージ参照設計(STX)に NeuralMesh が組み込まれると発表されました。一方で、その STX の提携先には VAST Data、DDN、NetApp、Dell、HPE など10社以上が並んでいます。NVIDIA に近い会社のひとつ、ではあっても、NVIDIA の公式ストレージではない。ここは過大に語らないほうが、読者にも会社にも誠実です。

    性能についても同じです。会社は2026年6月に Oracle Cloud Infrastructure 上での検証結果を発表し、同社によれば、同時に扱えるユーザー数は約600人から5,000人超へ、処理量(1秒あたりに処理するトークン数)は約10倍になったとしています。ただし、比較の相手は KV キャッシュを DRAM までにしか置かない構成(同社の言う「DRAM-only」)であり、他社のストレージ製品との比較ではありません。H100 を積んだ9台のサーバーで行ったベンチマークを、同社と OCI の共同検証として発表したもので、第三者が再現した数字ではありません。筆者はこの数字を疑っているわけではありませんが、売る側に立つなら「何倍」を条件込みで説明できる必要があります。

    どう売っている会社か ── パートナー優先

    WEKA の製品が顧客に届く3つの経路
    ソフトの会社が「ストレージの棚」で売れる理由

    営業職の読者にとって、製品の良し悪しより気になるのは「どう売る会社か」でしょう。ここは会社の公言があります。WEKA は2023年に代理店向けプログラムを発表した際、販売方針を「代理店主導・パートナー優先」と明言しました。代理店は WEKA から直接仕入れることも、サーバーメーカーやクラウド経由で仕入れることもできる設計です。

    経路を具体的に見ていきます。

    • クラウドのマーケットプレイス:AWS、Microsoft Azure、Google Cloud、Oracle Cloud の各マーケットプレイスで提供されています。2022年の時点で、取引の4割強がパブリッククラウド経由だったと報じられています。
    • OEM(他社製品への組み込み):日立ヴァンタラが2020年から WEKA のソフトを自社製品「Hitachi Content Software for File」に組み込んで販売しており、2026年3月の日立ヴァンタラ日本法人の発表にも同製品が登場します。つまり現在も続いています。ただし日立は競合の Hammerspace とも提携しており、独占的な関係ではありません。
    • サーバーメーカー:Supermicro、HPE、Lenovo が WEKA を載せた構成の資料や製品ページを公開しており、Dell のサーバーとの共同の構成も WEKA が発表しています。
    • ネオクラウド:GPU を専門に貸し出す新しいクラウド事業者(ネオクラウドと呼ばれます)との提携が、2025年以降に目立ちます。Nebius とは2025年6月に提携し、2026年9月には共同でベンチマークを公開。インドの Yotta、マレーシアの YTL AI Cloud、シンガポールの Singtel 系 RE:AI(2026年6月に覚書)などが続きます。

    そして、日本の読者にいちばん近い接点です。ジーデップ・アドバンスが2021年7月から国内で WEKA を取り扱っており、2025年1月に公表した同社の決算資料にも、海外の取引先として WEKA の名があります。トゥモロー・ネットにも製品ページがあり、日立ヴァンタラは前述の OEM 製品を国内で提供しています。一方、日本の顧客事例は、2026年10月時点で公開されていません。

    ここから筆者が読み取るのは、次の構造です。ソフトウェアの会社なのに「ストレージの棚」で売れているのは、OEM と自社機器があるからです。日本にも、営業の1人目が入る前から取扱先はある。ただし顧客事例はまだ無く、パートナーの網はこれから広がっていく途中と見るのが自然です。日本の1人目の営業は、パートナーの網が広がるのと並行して、その上で自分の案件を作っていく仕事になる、と見られます。

    日本はいま、どの段か ── 求人から読む

    まず、公開情報で見える日本の姿です。WEKA の自社サイトの拠点一覧に日本はなく、日本語のサイトもありません。法人登記も、筆者が調べた範囲では確認できませんでした。一方で、採用ページの勤務地には東京があり、2026年1月に大阪で開かれたスーパーコンピューティングの国際会議 SCA/HPCAsia 2026 ではゴールドスポンサーとして出展し、CTO が講演しています。アジア太平洋では2021年に拠点の開設を発表し、2023年には同社が「アジア太平洋で最初」とする地域オフィスをソウルに開いています。

    次に、求人です。外資系企業の日本法人の立ち上げ方は、提携のプレスリリースより、どの職種を、どの順番で募集したかから読むほうが正確です。提携は発表されますが、営業チームの立ち上げは発表されないからです。

    WEKA の採用システムを2026年10月14日時点で見ると、全世界で54件の求人があり、日本向けは2件です。

    初掲載 地域 職種
    2026年5月 日本(リモート) Senior Sales Engineer
    2026年6月 韓国 Senior Sales Engineer
    2026年7月 日本(リモート) Regional Sales Manager, Tokyo
    2026年8〜10月 韓国・台湾・インド 保守・サポート・技術営業(SE・SA)・OEM 向け営業

    日本ではセールスエンジニアが先に立ち、2か月後に営業職が出ています。しかもその営業職の求人票には「日本で最初の営業職(our first Sales Executive in Japan)」と明記されています。韓国はすでに拠点があり、技術職と保守の補充に入っている。台湾は OEM/ODM 向けの営業と技術職。インドはサポートと技術営業の補充です。アジア太平洋の求人の中で「最初の営業職」と明記しているのは、日本の求人票だけです。

    営業職の求人票をもう少し読むと、「戦略パートナーや VAR(付加価値再販業者)と共同で案件を進める」と「新規顧客を自ら開拓する」の両方が求められています。一方で、パートナーを開拓し管理すること自体は要件に入っておらず、チャネル専任の職も日本にはまだ出ていません。前節の販売方針と重ねれば、パートナーの開拓は別の手で進み、1人目の営業は、増えていくパートナーと共同で案件を作りながら、自分でも新規を開拓する、ということになります。パートナーが案件を持ってきてくれるのを待つ役回りでも、パートナー網を自分で作る役回りでもありません。求人票の要件は、IT 営業の経験5年以上、ストレージとネットワークの技術的な理解、新規開拓の実績、出張が可能なこと。日本語の求人票もあり、英語は「歓迎」の扱いです。

    なお、立ち上げ期の会社の組織は、1年後には変わっています。本節の記述は2026年10月時点のものです。

    「立ち上げ期の1人目に入るときの見方」(評価の考え方・面接で見られそうな点・向いている人)は、会員専用情報欄に置いています。

    学長トミオ

    黒田さん、ありがとうございます。

    ワイから言いたいことは以上や。まとめると、WEKA は「買った GPU を遊ばせない」ための土台を売る会社で、売り方はパートナーと組む型、日本はまだ1人目の営業を探しとる段、ということや。立ち上げ期の会社は、体制も評価もよう変わる。それをしんどいと思うか、面白いと思うかが分かれ目やと思う。

    向いとるのは、ストレージやサーバー、ネットワークみたいなインフラやハードを売ってきた人や。その経験が、そのまま AI の文脈で生きる。ソフトしか売ったことがなくても、インフラを学ぶ気があるなら入口はある。英語はある程度は要る。でも完璧やなくてええ。

    国本さんが探しとるのは、新しい分野に挑んでみたい人や。「ちょっとやってみたいかも」と思った人は、ワイに相談してくれ。うちの運営元のエージェント面談に繋ぐで。

    学長トミオ

    みんな、Happy Selling!

    学長トミオに相談する

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    立ち上げ期の1人目に入るときの見方。立ち上げ期で既存顧客がない市場では、営業の評価は新規顧客の獲得に重心が寄ります。固定給と変動給の比率、評価の中で新規開拓がどのくらいの比重を占めるか、立ち上げ期の目標設定の考え方は、面接で聞いてよい項目です。
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