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【企業研究】クアルトリクスとは何者か ── “体験”を数字に変える会社で、営業は何が身につくのか

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INDEX

    全体公開
    CX EX Qualtrics 外資IT 
    Department: 企業研究

    学長トミオ

    トミオやで。今日は「クアルトリクス」っちゅう会社を扱うで。……名前だけ聞いてもピンと来ん人、多いやろ。「アンケートの会社やろ?」って思たキミ、半分正解で半分ハズレや。

    正確に言うたら、クアルトリクスは「体験(エクスペリエンス)を数字に変えて、次の一手を打たせる」プラットフォームの会社や。表に見えとるアンケートは入口の一枚目にすぎん。ホンマの勝負は、集めた声を読み解いて「で、明日どう動くんや」に変えるところにある。ここを分かってへんと、この会社の営業は語られへん。

    ワイは昔、体験データを売る会社(Medallia)で飯を食うとった時期がある。せやからこの商売の「難しさ」と「面白さ」は、キレイゴト抜きで身に染みて分かる。ただ今日は他社と並べて優劣を語る回やない。「この会社で働くと、営業として何が身につくんか」——そこに絞って掘るで。

    今日はワイの見立てを、相棒の黒田さんに事実で確かめてもらう。会社の構造の話は、黒田さんが一番的確や。ほな黒田さん、頼んます。

    ▍本記事で扱う企業について

    本記事で扱う企業は、Challengers Academy運営元のチャレンジャーベース株式会社が採用支援を行っています。すでにチャレンジャーもこの会社で数字を持って頑張っています。

    ※本稿は同社からの依頼で制作していますが、対価を得た記事ではなく、取り上げる内容・評価・「向き・不向き」の判断はすべて編集側(Challengers Academy)が独立して行っています。

    \ この記事の検証担当 /

    黒田 Challengers Academy 企業研究担当

    外資ITの現場から経営の近くまでをひと通り経験し、いまは一歩引いて業界全体を見ています。会社を宣伝文句ではなく、構造で読み解くのが役回りです。本稿では、学長トミオの見立てを、公開情報に照らして確かめていきます。

    学長トミオ

    ちょっと1回だけ、立ち位置の話させてくれ。このAcademyの運営元は、外資IT特化の人材エージェント・チャレンジャーベースや。ワイはその学長として書いとる。せやから記事の中で「ワイら」て言うたら、ワイ個人+運営元のことや。それを踏まえたうえで、続きは黒田さんに引き渡すで!

    クアルトリクスとは何者か

    学長トミオは「体験を数字に変えるプラットフォームだ」と言い切りました。この見立てを、公開情報に照らして確かめていきます。

    クアルトリクス(Qualtrics)は、XM(体験管理/エクスペリエンス・マネジメント)という領域を切り拓いてきた会社です。同社は自らをこのカテゴリーの創出者と位置づけており、顧客や従業員から集めた膨大な「声」を、意思決定に使えるデータへと変えることを事業の中核に据えています。

    規模の輪郭を、公開されている数字で押さえておきます。導入は世界で約20,000の企業・組織にのぼり、そこにはFortune 100の85%以上が含まれます。売上は年間およそ15億ドル(2,000億円超)規模。日本国内でも、500を超える企業・組織で利用されています(2025年1月時点)。「聞いたことはあるが、実像は曖昧」という会社ですが、規模で見れば、体験データという領域の中心にいる企業だと言っていいでしょう。

    クアルトリクスの3段階:傾聴(Listen)・理解(Understand)・行動(Action)。顧客が最大の対価を払うのは3段目の行動

    何を売っているのか ── 「傾聴・理解・行動」の3段階

    クアルトリクスのプラットフォームは、大きく3つの段階で語られます。傾聴(Listen)→理解(Understand)→行動(Action)の3段階です。

    • 傾聴(Listen):顧客や従業員の声を集める段階。アンケート、レビュー、問い合わせ、SNS上の発言など、あらゆる接点から「体験のシグナル」を拾い上げます。表面から最も見えやすいのが、この段階です。
    • 理解(Understand):集めた声を読み解く段階。ここで効いてくるのが、後述するAIによる定性分析です。バラバラの声の山から、「どこで、なぜ、体験が崩れているのか」を浮かび上がらせます。
    • 行動(Action):崩れている箇所に、具体的に手を打つ段階。離脱しかけた顧客に手を差し伸べ、退職の兆しがある社員に支援を届ける——「聞いて終わり」にせず、業績や定着に効く一手に変えるところです。

    ここで、営業として押さえておくべき勘所があります。顧客が最も大きな対価を払うのは、3段目の「行動」に対してです。アンケートを配るだけなら、安価なツールはいくらでもあります。クアルトリクスが評価されているのは、集めた声を「動ける形」に変え、実際の成果につなげるところ。だからこそ同社は、自社を「アンケートツール」ではなく「行動(Action)のためのプラットフォーム」として市場に位置づけています。目に見える一段目だけを見て「アンケート屋さん」と呼ぶと、この会社の本質を見誤ります。営業が売っているのは、紙のアンケートではなく、「体験を成果に変える仕組み」そのものです。

    クアルトリクスが扱う3領域:顧客管理(CX)・従業員管理(EX)・市場調査(MR)。製品・ブランド調査はMRに含まれる

    3つの領域と、AIという差別化点

    クアルトリクスが体験データを扱う領域は、大きく3つに整理できます。

    • CX(顧客管理):顧客の体験を測り、改善する領域。
    • EX(従業員管理):従業員の体験を測り、エンゲージメントや定着につなげる領域。
    • MR(市場調査):市場や消費者を調べる領域。かつて別枠で語られがちだった「製品」や「ブランド」に関する調査も、この市場調査(MR)の中に位置づけられます。

    この3領域を、ひとつのプラットフォームの上で横断できることが、同社の設計思想です。「顧客のことは分かるが従業員のことは別のツール」ではなく、会社の内と外の体験を地続きで扱える——これが、後段で触れる「営業の武器」に直結します。

    そして近年、同社が最大の差別化点として打ち出しているのがAIです。ここは丁寧に見ておく価値があります。昨今の生成AIは「業務効率化」「自動化」の文脈で語られることが多いですが、クアルトリクスが評価されているのはそこではありません。同社が強みとするのは、「VoC(顧客の声)」や「体験」といった、数値になりにくい”定性的なもの”を的確に読み解くAIという点です。声にならない不満、言葉の裏にある感情——そうした曖昧なものを構造化して意思決定に使える、というのが同社の主張であり、市場からの評価でもあります。

    この評価は、第三者の調査にも表れています。調査会社Forresterの評価「Forrester Wave」において、同社は従業員体験管理(EX、2025年)、顧客フィードバック管理(CFM、2024年)、カスタマー・ジャーニー・オーケストレーション(2024年)など複数の領域で「Leader(リーダー)」に位置づけられています。同社は自らを「世界最大級の”人の感情”データベースを持つ企業」と表現しており、AIの土台となるデータの厚みが、この領域での強さを支えています。

    クアルトリクスの資本と沿革:2002年創業、2018年SAP買収、2021年Nasdaq再上場、2023年Silver Lakeらが非公開化、2026年Press Ganey買収、新章へ

    資本の物語 ── 買収と再上場を繰り返してきた会社

    クアルトリクスの歩みは、そのまま「体験データの価値が世の中に認められていく過程」でもあります。

    2002年、米ユタ州プロボで創業。当初は大学の研究者向けのアンケートツールでした。2012年にAccel・Sequoiaから7,000万ドルを調達し、事業を拡大。2018年11月には、株式上場の直前にSAPが80億ドルで買収します。その後2021年1月にNasdaqへ再上場を果たし、2023年には投資会社Silver LakeとCPP Investmentsが約125億ドル(1株18.15ドル)で買収し、再び非公開化しました。

    そして2026年5月、同社はヘルスケア体験分野のリーダーであるPress Ganey Forstaを67.5億ドル(約1兆800億円)で買収完了したと発表しています。Press Ganey Forstaの測定システムは41,000を超える医療施設で使われており、長年蓄積された患者体験のデータが、クアルトリクスのXM・AIプラットフォームに統合されます。同社はこれを「体験の文脈に関する世界最大級のAIデータセットの構築」と説明しており、AIを軸にしたデータ拡張戦略の一手と位置づけられます。

    上場・買収・再上場・非公開化・大型買収——この慌ただしさは、裏を返せば「体験データという領域に、それだけの資本が張られ続けている」ということです。営業として身を置くなら、追い風の吹いている市場である、という理解でよいでしょう。

    【この記事の主眼】クアルトリクスで働くと、営業として何が身につくのか

    ここからが本題です。学長トミオが「この会社で働くと力がつく」と言うとき、具体的に何が鍛えられるのか。公開情報と事業構造から、3つに整理します。

    ① バリューセリングの力
    体験管理は、いわゆる「無いと業務が止まる」タイプの製品ではありません。だからこそ、「これは会社の売上や定着を左右する”攻めの投資”だ」と、価値そのものを相手に認めさせる営業——バリューセリングが必須になります。機能の説明で売れる製品ではなく、「なぜ今これに投資すべきか」を経営の言葉で語り切る力が、ここでは日常的に求められます。これは、どの外資に移っても効く普遍的な武器です。

    ② C-Suite(経営層)全体への、部門横断の提案力
    前述のとおり、クアルトリクスはCX・EX・MRを一つのプラットフォームで横断します。つまり営業は、人事だけ・マーケだけといった単一部門の担当者ではなく、顧客・従業員・市場を束ねて、会社全体の経営課題として提案する動き方になります。「人事のためのツール」に閉じず、CS・マーケ・経営企画・そして経営層(C-Suite)全体に対して、パッケージとして価値を届ける。相手の職位が上がり、扱うテーマが経営そのものに近づく——この提案経験は、市場価値に直結します。

    ③ 新規開拓を勝ちパターンに変える力
    新しいコンセプトを扱う製品は、その価値に早く気づく層(Early Adopter)への導入が中心になります。結果として、既存顧客の深耕(Expansion)よりも、新規開拓のほうが主戦場になりやすい。これは楽な道ではありませんが、裏を返せば、「まだ誰も価値に気づいていない相手に、ゼロから市場を作りにいく」経験が積めるということです。守りではなく攻めで数字を作る筋力は、外資ITのどこへ行っても通用します。

    学長トミオ

    ここ、ワイからも一言だけ言わせてくれ。「無くても困らんもん」を売る商売はな、機能表を読み上げても1ミリも刺さらん。相手の頭ん中に「これに金を出さんかったら、うちは何を損しとるんや」って絵を描かせる——それがバリューセリングや。ムズい。ムズいけど、これができるようになった営業は、どの戦場に放り込まれても飯が食える。ワイが体験データの会社におった頃、いちばん鍛えられたのがまさにここやった。しんどい代わりに、確実に地力がつく場所やで。

    こんなチャレンジャーに向いている

    • 機能ではなく「価値」を語るのが好きな人。相手が気づいていない課題を、絵にして見せるのが得意なタイプ。
    • 経営の言葉で会話したい人。担当者どまりではなく、経営層と同じ目線で課題を語りたい人。
    • 新規開拓を「面倒」ではなく「陣地を広げる面白さ」として捉えられる人。ゼロイチの手応えを求める人。

    逆に、「決まった製品を、決まった型で回したい」タイプには、少ししんどい環境かもしれません。ただ、そのしんどさの正体は次のとおりです。

    ただし、楽な場所ではない

    フェアに書きます。クアルトリクスで営業をやることには、明確な難所があります。

    難所① 「無いと困る」製品ではない、という前提
    体験管理は、価値を相手に認めさせて初めて予算がつく領域です。毎回、相手の頭の中に「投資する理由」を立ち上げるところから始まります。ここで手を抜けば、商談は「あれば良いね(Nice to have)」で止まって流れます。ラクに売れる製品ではありません。

    難所② 新規開拓中心の厳しさ
    前述のとおり、主戦場は新規開拓です。既存顧客をコツコツ深耕して数字を積む働き方に比べ、毎回ゼロから相手の理解を作りにいく——その負荷は小さくありません。

    難所③ PE傘下の成長規律
    現在、同社はSilver Lakeらの傘下(非公開)で、成長と収益性の両立を強く求められるフェーズにあります。追い風の市場であると同時に、結果に対する規律は相応に効く環境だと見ておくのが妥当でしょう。

    ——ただし、これらの難所は、そのまま前段の「身につく力」の裏返しです。ラクではないからこそ、バリューセリングも、経営層への提案も、新規開拓の筋力も、確実に鍛えられる。厳しさと成長機会がセットになっている、というのが、この会社の営業の実像です。

    学長トミオの「体験を数字に変えるプラットフォーム、その最前線」という見立ては、事業構造・資本の動き・第三者評価のいずれに照らしても妥当だと言えます。留保すべき点があるとすれば、それは会社の欠点ではなく、「新しいコンセプトを扱う会社ならではの難しさ」です。売る側にコンセプトを言語化する力が要る——この一点を理解した上で飛び込めるなら、得られる地力は大きい。筆者の見立ては、そうなります。

    学長トミオ

    黒田さん、おおきに。……どうやキミ、「アンケートの会社」ってイメージ、だいぶ変わったんちゃうか。クアルトリクスは、体験っちゅう曖昧なもんを数字に変えて、経営に「次の一手」を打たせる会社や。そこで売る営業は、機能やのうて価値を売る。しんどいけど、その分、どこ行っても通用する地力がつく。ワイが保証するわ。

    「この会社、自分に合うんかな」「話だけでも聞いてみたい」——そう思たら、ワイに相談してくれ。うちの運営元のエージェント面談に繋ぐで。キミの経歴と、この会社の”難所と面白さ”を突き合わせて、正直なとこを一緒に考えよか。

    学長トミオ

    Happy Selling!

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    出典

    • クアルトリクス「クアルトリクス、プレス・ゲイニー・フォルスタを買収」(2026年5月)https://www.qualtrics.com/ja/articles/customer-experience/qualtrics-acquires-press-ganey-forsta/
    • The Forrester Wave™: Employee Experience Management Platforms, Q2 2025(Qualtrics=Leader)
    • The Forrester Wave™: Customer Feedback Management Solutions, Q4 2024(Qualtrics=Leader)
    • The Forrester Wave™: Journey Orchestration Platforms, Q2 2024(Qualtrics=Leader)
    • 規模・沿革・国内利用・資本の数字は、同社公開情報・公開リリース・報道に基づく(2025〜2026年時点)

    最終検証日:2026年7月7日

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